「翔太…なんでここに?」
「だって、今日は美咲の誕生日じゃん」
そう言いながら、私の左手の薬指のリングを見つけてびっくりした顔の翔太。
「お前、まだこれ持ってたの?」
少し顔を赤らめながら聞いてくる翔太は、十年前の面影が有った。
「うん、宝物だから」
「ば~か」
そう言いながら、ポケットからゴソゴソと何かを取り出した。
「なぁ、美咲。十年前の約束覚えてる?」
まっすぐに見つめる翔太の瞳に、吸い込まれそうになる。
「覚えてるから来たんだよ」
相変わらず素直じゃない私。
そんな私に、クスッと笑いながら
「相変わらず変わらねーな。素直じゃない所とか」
ニヤリと笑った翔太だって、泥だらけじゃないだけで変わって無いんだから。
「翔太だって、全然変わってない」
久しぶりの再会なのに、昔みたいに自然と言い合う二人。

