しょんぼりする真夏の頭を撫でて
「怒ってないよ」と笑う
「ほ、ほんとか!?」
「うん、ほんとほんと」
「…飛鳥っ」
飛び付いてきた真夏を、あたしは上手く受け入れれずに床に二人で倒れ込む
うん、痛い
そして重い
「ちょ、真夏重い!!早く退いて!!死ぬっ!!」
「ぎゃははははは!!」
「誰のせいだと…!!」
真夏の手を借りて立ち上がり、お尻をはたく
…ムカつく
なんかすっごいムカつく!!
早く下に下りようとドアに近寄るあたしを、海司が止めた
「下降りようとしてるのは分かるけど、その前に聞いてほしい」
振り返ると、パソコンに手を置いたままの海司と目が合う
真夏はただならぬ空気を感じたのか、そそくさとさっきまで座っていた自分の椅子に戻っていく
おい、ちょっと待て
なんてこの空気で言えるはずもなく…
「…なに?」
「今ね、wingって言う族が勢力を伸ばしてる。both wing、それが頭だって。その族は俺たちを潰そうとしているみたい」
「…そっか」
「…うん、それだけ。行っていいよ」
あたしは海司の言葉に、幹部室を出た
wing、意味は翼
both wing、意味は……両翼



