「つ、……かれた」


何気に今日が今までで一番働いた気がする……。


常連客もニヤニヤしつつそそくさと帰ってついでに店長まで流れに乗りやがって!ふざけんなっ!!収入ぱちるぞっ!!


「おつかれ、」


二階にあるゆったりとしたカウチソファにぐったりと座っていたら彼がエプロンだけを外した状態でやってきた。
うん、あがればいいのにー。


「おつかれ、いいよ?あがって。」

「いや、まだ仕事あるだろ?」


気まずいのもなれたあたしはもうすでにってかティータイムの時間から彼に普通の対応をしている。彼が少しまごついていたが次第に慣れてきた。


こんな偶然、二次元の世界の中だけだと思っていた。だって、世界というか人の足で歩くにも日本という島国は広いのだ。
日本一周するには何日も何十日間もかかる。世界はもっと広いけど。


だから、こんな偶然、おきるわけないのだと。



「なぁ、お前……」

「何も、言わないでよ。二回も落ち込みたくないよ。」


あは、と乾いた笑いのあたしを見て彼はなにやら苦汁を飲んだような顔をした。
別にそんな君が気に病むことないのに。
 

「なか……」

「そんな、優しいとこが好きだったんだよね」


しみじみと彼を見ながら思った。
彼ははっとしてほんのり頬を染めていた。もちろん、顔は背けてたけど。
うん、可愛いね。


カミングアウトしたらもう、何いっても平気な気がする。別にアプローチとかじゃないけどただ、素直に思ったことを言えるっていいな。


「あ、時間ある?お茶しようよっ!」


いや、君がいなくても独りでもお茶しますけどね。いつもは店長と一緒だったけど。
ひとりでってのもいいかも……。うん、残り物のケーキ食べれるし、いいかも……。
うん、やっぱりひとりの方がいいかっ!!


「……あの!」

「いいけど、下いくだろ?」


…………はい。
くそうっ!一歩遅かった!!
なんか、気まずい空気が流れ無いとも言い切れないしー!!
 

もう、開き直ってやるっ!!


「君は何飲む?」

「いや、よくわからなくて……」


うん、そういうの疎そうだよね。
なんていうか、紅茶と珈琲とお茶だけ知ってるっていう感じだしね。


「じゃあ、紅茶飲める?」

「あぁ、飲めると思う。」


トントンと階段を降りつつ茶葉を思い浮かべる。うん、アレにしようかなー。
ふふ、と頬が緩んでたらしく彼がこちらを見て


「楽しそうだな」


と笑っていた。
うん、あたしの好きな笑顔だ。
まだくすぶっていた未練ある恋心がトクンと胸を打つ。ほんのりと頬を染める。