「おはよーございまーすっ!」


カランッ、と景気のよい音を立てて開店前のお店の戸を開ける。
中にはいると店長が丁度出てきたところでボブカットの髪を揺らして笑う。


「おはよう。麻由子、今日からよろしく頼むわよ。」

「よろしくお願いしますねーっ!」


にこやかに朝の挨拶をしてスタッフルームと書かれたドアを開ける。
更衣室の中に荷物をおき、水色のシャツに袖を通しエプロンを巻きつけて外にでる。


「店長、」


誰かと話し込んでいる店長を後ろから呼ぶと店長は此方を向いて笑う。


ん、何か。
嫌な予感がするのですか………。


「麻由子、良いところに。今日から働いてくれる秋山博人くんだよ。」

「秋山ひ…………」


彼は此方、つまり私を見て固まりました。
はい、ちなみに私も固まってますよー。


ただ、店長だけがニヤリと笑う。


くそうっ!知っていたな店長めっ!!


「中野麻由子です。よろしく………」


うなだれるような気持ちで弱々しく一応の挨拶をして彼の横を通る。


皆様、お気づきでしょうか。
彼、秋山博人こそ昨日あたしをフった張本人なのですよっ!



……神様、あたしは何か悪いことでもしましたか?

キリスト教ではないにしろ、なにもそこまで罰当たりなことはしてないですよっ!
せいぜい、精神を再起不能にさせることしかしてませんよっ!!
はい、充分悪いことですねっ!
だから、そんな目で見ないでくださいっ!!


「丸山が今、単位の関係で休むらしいから麻由子、あんたが秋山くんの担当よ。あと、佐伯ちゃんはしばらく大学に缶詰めらしいから此方には来られないそうよ、」


店長、サラッと余命宣告をしないでいただきたいです。



未だに固まってる秋山さんにチラリと一瞥してからため息をついたのだった。


神様、貴方は酷いお人です………。