「はっ…、ハァッ…っ、!!」

教室からトイレまで、たいした距離ではない。


それなのに呼吸が乱れる。
心拍数があがる。
体が鉛のように重い。


俺は便座に腰かけ、自分の左手首を見る。


そこにあるのは、たくさんの傷跡。
真新しい、それこそ昨日のものから、だいぶ前のもある。


全部、自分で付けたものだ。


この右手にあるカッターで。