フィギュアの大会では、まずショートプログラムからスタートする。


トップバッターは、前回の冬季オリンピックの代表選手に年齢制限で選ばれなかった選手が出て来た。


その滑りは、緻密に計算され完璧に点が取れる様な演技で、後に続いた選手は意識し過ぎてミスを連発、おまけに最後のトリプルアクセルで転倒してしまうほど。


樹の出番まで見た5人の選手のぶざまな滑りに、フィギュアをよく知る陽生は溜め息をついて、ダメな所をブツブツと呟く。


その知識に晴斗は関心しながらも、さきほどの『結婚』に対する妄想に何度も悩まされていた。