「うわ、早く来すぎた…」




待ち合わせの駅まであと少しの時、ふと時計を見て、足を止めた。


カツンと音を立てて、赤のヒールが止まる。




今日は待ちに待ったデート本番。


このままだと、待ち合わせの10分も前に駅に着いてしまう。


がっついてるって思われないかな?




「まあ、いっか」




青山さんを待たすのも悪いし。


そう呟いたわたしはまた駅へ歩きだす。


淡い期待を抱いて。