「あーもう!! 何着て行こ〜」




金曜日、夜。


晩御飯を食べ終わったあと、わたしはすぐに自室に戻り、頭を抱えていた。




「青山さんってどんな格好が好きなのー?」




誘われたのが木曜日。

お出かけが明日、土曜日。


服なんて買いに行く暇がなかった。




「杏実なにしてるのー?」




よほどうるさかったのか、下からママの怒鳴り声。


今日ほど一人っ子を恨んだことはない。

お姉ちゃんが欲しかった…。




「なんでもないー!!」




ママに叫び返して、嘆いていても仕方がないと、ガラッとクローゼットを開けた。