灰色フラワー





「土曜、ですか? …ヒマですけど」




と言うと、青山さんは『よかった』と呟いてごそごそポケットを漁りだした。


え、なに?




「はい、これ」




差し出された二枚の映画チケット。


タイトルは『ラスト・ピッチ』だった。




「ぷっ…」


「え? 知ってる?」




青山さん、なにげ姫と気合うんじゃないの?


青山さんは、思わず吹き出したわたしを、訝しげに見つめてくる。




「いや、何でも…」


「じゃあさ、…土曜、一緒に行こ?映画」




コクンと小首をかしげる青山さん。


かっ!かわい過ぎます!!


持たされたままの花束を握りしめると、カサカサ音を立てた。