「それ、『パフィオペディルム』って名前なんです」
「パフィヨパデルム?」
「あはは!! 『パフィオペディルム』ですよ」
「…そうなんだ、変な名前」
青山さんはもう覚えるのを諦めたのか、パフィオペディルムの花を凝視している。
そんなに気になるのかな?
「青山さん、できましたよ」
「うん、ありがとう」
花束を差し出すと、青山さんがわたしの手の上に彼のを重ねてきた。
ぎょっとしたと同時に、顔が熱くなるのが分かった。
「あ、青山…さん」
「あずちゃん、今週の土曜ヒマ?」
真剣な目の青山さん。
握られた手が熱くて、花束を持つ手に力が篭る。


