灰色フラワー





自動ドアが開いたと同時に、冷たい風が店内に入ってくる。




「また来週」


「ありがとうございました!!」




親しげに手を振ってくれる青山さんに、事務的に仰々しく頭を下げた。


青山さんは、少し寂しそうにしたけど、何も言わなかった。




自動ドアが閉まる。




青山さんの姿が人混みに混じって分からなくなる。


それからまたもう一度、深くお辞儀をした。




『これから葵さんに会いに行くんですか?』


聞きたい言葉をぐっと飲み込んで。


わたしは、聞いちゃいけない…。