……ほら来た。




毎週木曜日になるとやってくる男の人。


迷うそぶりも見せずにレジへ直行してくる。




「じゃあ…」




見上げる長身に、びしっと着こなしたスーツ。


整った顔立ちに、真っ黒な瞳。

いつ見ても綺麗だな、と思う。




「いつもの、ですよね?」


「え?」




わたしが急に話し掛けると、『知ってるの?』という風に男の人の目が見開かれる。


真っ黒な目。




「お得意様ですから」


「ありがとう」




ふっと細められた目にトクンと小さく胸が鳴った。