闘志、燃ゆる魂

「油断してかかったのが命取りだったな。おめえの力なんざ……」
 だが、次の句は繋がらず、副頭目は沈んだ。

 胴が貫かれている。副頭目は震える口調で、周倉に振りむいていた。


「てめえ……裏切り、もの……!」


 口から血を吐き、白目を露にする。最後は力なく大刀の柄を掴みながら絶命していた。

 刃を引けばそこから血脂が漏れる。露をその場で落とし、吐き捨てた。


「裏切った覚えなどないがな」
 背を晒した、その時からお前の死は決まっている……。


「た、助けてくれたんだよな?」
「――勘違いするな、こいつが邪魔だったから斬っただけだ」
 遠のこうとした周倉に、裴元紹が立ちはだかる。


「あのなあ、あん時気に障ったんなら謝る。だけどよ、俺がいなきゃお前死んでたかもしれねえぜ?」
「ならば、仕方ないと思うだけだ」
「なっ……!」
 眉間に皺を寄せて、裴元紹は詰め寄った。


「お前なあ、自分の命を何だってやがる!!」
「何とでも」
 所詮あの男によって創られた生、執着など無い。


「来いよ――」
 腕を掴まれていた。
「来いってんだ! てめえみたいなむかつく野郎、絶対に矯正させてやるっ!!」


 振り払ってやろうか、とも思った。その腕を二度と使えなくしてやろう、との考えもよぎった。だが、あえてそうしない。

 興味がわいていた。ここまで食い付く奴もそういないし、あの男に与えられた生を少しは全うするのも悪くない。それに、奴の背後にいる教祖。張角と呼んでいた気がする。そいつの素性も気にかかる所であった。


「しかし、敵を挑発するとは、莫迦だな……」


「んなっ!!」
 罵られて、裴元紹は頭に血を昇らせていた。
「う、うるせえ! いちいち、いちいち、突っ掛かってきやがってよう……!!」


 出会いは最悪と言っても過言ではなかった。