「じゃぁ暫く榎波さんカウンター係やってもらってもいい?
俺こっちで本の整理とかしてるから」



委員長はさすが委員長というだけあって、実にテキパキと仕事をこなしていた。

人に指示出すのもうまいし。





「うん!」





そう元気よく返事をしてカウンター係に徹する。



といっても放課後の図書室を利用する人はそこまでいなくて、結構暇なんだけど…





すぐに暇になってしまったあたしは、何気なく窓の外に目をうつした。





そこに見えたのは。











朝霧と、腕を組んで帰って行く美女さんの姿。


…しかも朝霧……笑顔で何か話してる。



朝霧は、人前では滅多に笑顔を見せない。
でも遊園地ではじめてたくさん、朝霧の笑顔を見れて。
…なんとなく、あたしの特権、みたいに感じてたのに。












「それにしても暇だよな図書委員って」



本の整理が終わったらしい委員長がカウンターの中に入ってきて言った。






「…ってか榎波さんなんか顔色悪くね?」


「…え。…そ、そんなことないよ!」








なんで。




なんで笑うの。







委員長と他愛もない話をしている間もずっと、頭の中ではさっきの、朝霧の笑顔がこびりついていて。





やだよ。




あたし以外の女の子に笑いかけないで。








………朝霧の隣をとらないで。