──いつからこんな風に?


知らない。どうでもいい。


──なんでこんなことに?


今さらわかるはずもない。



「……わたし、は」


ずっとひとつだと思っていた。

小さな世界ではそれだけがすべてだった。


小さな両の手のひらを、ぎゅっと握りしめてくれる温かなぬくもり。

絶対的に安心できる場所。

どんなときでも側に在る、たったひとつのかけがえのないもの。


大切な、家族。



「わたしは……お父さんとお母さんの、子どもでしょ」



ふたりが居たからわたしが居る。

ふたりが家族になったから、わたしはこうして生まれてきた。


ふたりの繋がりを、形にしたのがわたしなんだ。


……じゃあ、そうじゃなくなったら。

お父さんとお母さんが、バラバラになってしまったら。


わたしは。



「わたしは、何になるの」



もう、なんでもないよ。