泣き止んで、大分落ち着いて来た頃、晴香はゆっくりと口を開いた。



『あの日、康太の電話に出たのも…その女の子?』



電話?


あ!!



「多分その時まだ飲み屋にいた。女の子はテーブルに突っ伏して寝てたし、携帯置きっぱなしで、トイレに行った時じゃないかと…思う」



『そっか…』



あの時、電話に出れていればこんな事にならないで済んだんだ。





『康太、よくここがわかったね。』



「俺達の出会いの場所だから。けど…どうして?鍵は?」


すぐには思い付かなかった。だって、想いが通じたあの日、ここの鍵は捨てようってなったはず。



「…捨てられなかったの。康太と出会えた、思い出の品だったから。」



「そうなんだ。…でも、やっぱり捨てよう。」



俺との思い出の物とは言うけど…
昔の男から貰った物を持ってて欲しくない。