「結愛ー、ちょっと買い物に行ってきてくれない?」



朝起きると、突然母さんが言ってきた。




「別にいいけど…。
何買うの?」




「クリスマスパーティー用の準備」




「え?
でも父さんも母さんもクリスマスは仕事なんじゃ…」



「だって結愛1人になるでしょ?
だから、2人でお休み取ったの!」




嬉しそうに笑う。




私のためにお休み取ってくれたのかな…。




「ほら、早く早く!」




「わかった」




私は母さんに背中を押されながらも、財布とメモを持たされて家から出た。




…そっか、母さんたち今年いるんだ。




これで1人じゃなくなる!



私はワクワクした気分でスーパーへ行った。




えっと…ツリーにつける飾りと、イルミ…。




そういえば去年のクリスマスツリーを飾る時、健がふざけてて飾りほとんど踏んじゃって、ダメになっちゃったんだっけ。




その後健が痛くて大泣きして、クリスマスどころじゃなくなったんだよね。




懐かしいな〜。




去年のことを思い出して、自然と笑みがこぼれる。




そうだなぁ…、全部で三千円くらいかな。




てことは、あれとこれと…。




それぞれ値段を見ながらカゴの中に入れて、レジを済ませた。




「うっ、結構重い…」




袋2つを両手に持って歩いて行く。




うぅ〜、お〜も〜い〜。




ちょうど噴水の所まで来た私は、少し休憩することにした。




噴水のすぐ近くのベンチに荷物を置いて座った。




「はぁ〜」




空を見上げながら白い息をはく。




それから何気なくケータイのメールをチェックした。



…0件。




誰からも来てない。




里津、今頃何してるんだろ…。




里津のことを考えていると、ザッと目の前に影ができて、誰か立った。




……?




頭を上げて見る。




「あ……」




そこには、昨日ぶりの伊波さんがいた。