私はあまり話せなかったけど、みんなの話を聞いていて少しわかったことがある。
ここに集まった男性人はみんな、大学1年生だということ。
それから4人とも仲良しメンバーで、天文サークルに入っているということ。
「大学生って楽しいですか?」
「うん。
まぁ楽しいかな。
毎日遊んでるみたいな感じ」
「「へー」」
私たち高校生には大学の話は興味深いものだった。
私はあまり興味ないけど…。
「ねぇ、里津ちゃんはどんな大学に入りたい?」
「……」
男の人を無視して、たんたんと出てくる食事を食べ続けてる。
里津も別に興味なさそう…。
そういえばあの人全然しゃべってない。
本当に合コンに興味がないのかも。
チラッと目をやると、伊波さんは里津同様、パクパクと食べているばかりだった。
「あの…」
「あ?」
「これ…おいですよ?」
恐る恐る差し出したのは唐揚げがのったお皿。
「…ほっといてくれ」
「あ、ご、ごめんなさい…」
余計なことした、とシュンとして差し出したお皿を引っ込める。
その時、ガシッと腕を掴まれた。
え?と思っていると、伊波さんが腕を掴んだ反対の手で、お皿にのっている唐揚げを1つ摘まんで食べた。
「あっ…」
「…うまい」
そう言った伊波さんは優しく微笑んだ。
ドキッと鳴る心臓。
ビックリした…。
いきなりあんな優しそうな顔で笑うんだもん…。
「あ、お前何結愛ちゃんにぬけがけしてんだよ!」
「別に俺は…」
「いいから、お前はこれでも食ってろ!」
西川さんがフォークで取ったサラダを、伊波さんの口の中へ詰め込む。
それを見て私も周りの人たちも笑った。
…さっきのは、ビックリしてドキッとなっただけだよね…。
今もドキドキいってる心臓をギュッと掴んで抑さえた。