……とうとうクリスマスがやって来た。




外も、家の中も、クリスマスでにぎやか。




だけど私の心ははずむどころか、沈んでいた。




あれから結局、私はそれきり伊波さんに会うこともなければメールさえしてないし、来なかった。




今年は人生で一番最悪なクリスマスになりそう…。




「あら、シャンパン買ってくるの忘れたわ」




母さんが突然言い出した。



「何だ?
だったら近くの自動販売機のグレープファンタでよくないか?
それならちょっとは雰囲気出るだろうし…」




「ダメよ、シャンパンじゃなきゃ。
あの最初のフタをポンッて開けるのが一番面白いんじゃない。
という訳で、結愛買ってきてくれない?」




ウインクをする母さん。




…何を期待しているのやら。




「いいよ」




どうせ彼氏もいない私は、暇人なわけなんだし…。




「じゃぁちょっと行ってくるね」




そう言ってマフラーを巻いて家を出た。




どうせ母さんは、久しぶりにクリスマスを家で過ごすから、ちょっとの間だけでも父さんと二人きりにでもなりたかったのだろう。




はぁ。




私の周りは幸せ者ばっかだ。




ぐれちゃうぞ、私…。




私はわざと時間をかけるため、家から少し離れたお店に行った。




「シャンパン…2本でよかったかな?」




まぁ、母さんはシャンパンなのにもかかわらず、酔っちゃうからなぁ…。




いっか。




袋の中を覗いていた私は、袋を片手に持って歩き出した。




…さすがクリスマス当日となるとすごい。




外がイルミネーションだらけで輝いている。




特に、凄かった場所はあの噴水の所だった。




「キレー…」




噴水に周りのイルミネーションが映ってキラキラしてる。




私はその光景に目を離せなかった。




…これ、伊波さんと一緒に見れたら嬉しかったな…。



でも今頃伊波さんは、あの彼女さんと仲良くクリスマスを過ごしてるのかもしれない…。




ふと伊波さんのことを考えるだけでも、胸が痛んだ。



はぁ、私何してるんだろう…。