おぉ…。
クリスマスが近いせいか、見わたすかぎりクリスマスグッズ。
あ、あのサンタ可愛い。
ガラスの中にちょこんと立っているサンタを見つめる。
クリスマス、か…。
伊波さんは誰と過ごすんだろ…。
…ま、合コンに来たんだから、彼女とってことはないよね。
サンタから目を離し、いろいろと見て回った。
それから3時間。
「結構回ったな〜」
時間を確認すると、3時だった。
伊波さんと会うまで後約1時間…だと思う。
「さて、今度は何を見ようかな〜」
もう少しで会えることに、喜びを感じながら歩いた。
すると…。
「あれ…?」
見たことのある後ろ姿を見つけた。
あれって…伊波さんだよね?
少し離れていたけどわかった。
用事があるって言ってたけど…。
一体何なんだろう?
見ていると、人混みが消えて向こうの伊波さんがよく見えるようになった。
「あっ、え…?」
なぜかよく見える伊波さんの隣には、知らない女の人が一緒に歩いていた。
誰…だろ?
い、伊波さんは大学生だし、女友達の人かな?
そう思っていると、女の人は伊波さんと腕を組んで、嬉しそうに引っぱって行っていた。
もしかして…彼女?
「彼…女…」
私はいてもたってもいられなくて、急いでその場を離れた。
私、浮かれてた。
彼女はいないって思ってた。
そうだよね、伊波さんカッコいいもん。
いないはずがないよね…。
私は全力で走った。
走って走って、着いた所は…。
待ち合わせの噴水の場所だった。
ここ…。
……誘ったのは私なんだし、このまま帰るなんて失礼だよね。
ズキズキと痛む心を押さえながら、私はベンチにぐったり座った。
どうしよう…。
すごく苦しい…。
私、いつの間にかこんなに伊波さんのこと…。
好きになってたんだ…。
ゆっくりと一粒の涙がこぼれ落ちた。