……今日は伊波さんと会う日。
うわっ…異様にドキドキする…。
「ねーちゃん」
ノックも無しに、いきなり部屋の扉が開いた。
……ビックリした!
「健、ノックしてよ!」
「あー、ごめんごめん」
そう軽く謝りながら部屋に入ってくる健。
どうしてこの子はこういう日に限って、毎回やって来るのだろう…。
「今日は何?」
「え?
あぁ、この前借りたシャーシンをね。
後、母さんが朝ご飯だって」
「わかった」
シャーシンを受け取りながら答える。
「……何?
今日も出かけんの?」
「え、あ、うん…まぁ」
我ながら曖昧な返事だ。
「ふーん」と答える健は、私をマジマジと見てからニヤッとした。
「彼氏だ?」
「はぁ!?
な、何言ってんの!?」
ヤバッ…声裏返っちゃった!
「スッゲー同様してんじゃん。
声裏返ってるし、おまけに目も泳いでるんですけど…」
…ダメだ!
このまま健といると、何かバレそう!
「な、何でもないから!
さ、ご飯食べに行こ〜。
…母さんたちには何も言わないでよ?」
「どうだろーな」
ニヤニヤとする健を睨みながら、1階へと降りた。
…ヒマだな〜。
伊波さんと会うのは夕方。
それまで私はヒマをもて余していた。
…そうだ!
町に出てブラブラしながら時間をつぶそう。
そうしよう!
思いたった私は、昼ごはんを食べてからさっそく出かけた。