あれ…、こっち軽い方だ…。
伊波さん、わざわざ重い方持ってくれてるのかな…。
何だか申し訳ないけど…、でも何か嬉しい。
「おい、置いてくぞ」
「ま、待ってください!」
置いてくの前に、伊波さん私の家知りませんよね?
私はクスクス笑ながら、隣に並んで歩いて行った。
昨日初めて会ったばかりなのに、またこうしてすぐに会えるとは思ってもいなかった。
すごいな…。
「あ…ここが私の家です」
夢中で歩いていると、いつの間にか家の前まで来ていた。
「じゃ、これ」
「はい。
ありがとうございました」
荷物を受け取ると、伊波さんはすぐ去っていこうとしていた。
……このまま別れたら、もう伊波さんとは会えなくなるかもしれない……。
「…伊波さん!」
「ん?」
振り返る伊波さんに、私は声を大きくして
「あの…!
また会ってくれますか!?」
と聞いてみた。
伊波さんはビックリした表情をしていた。
やっぱり、突然過ぎて引かれちゃったかな…。
そう思っていると、伊波さんがこっちに戻ってきた。
「ケータイ、出して」
「え?」
顔を上げると、伊波さんはケータイを片手に持っていた。
「ケータイって…」
「メアド。
交換すればまた会えるだろ?」
「……!」
まさかメアド交換することになるなんて思わなかった。
アタフタと、私もポケットからケータイを取り出す。
そして赤外線をした。
交換する時、やけに体が近くてドキドキした…。
「じゃ、また」
「はい、また…」
帰っていく伊波さんの後ろ姿を見送りながら、私はケータイを胸元でギュッと握った。