「い、伊波…さん?」




「やっぱり。
あんた昨日の奴だよな」




「はい…」




何で伊波さんがここにいるんだろう?




とりあえずケータイをポケットにおさめた。




「あの…お出かけですか?」




「え?
あぁー、うん、まぁ」




…曖昧な返事。




それにしても、私の前で立ち止まったってことは、伊波さん私だって気づいたからかな?




「あんたこそ、こんな所で何してんだよ?」




「あ、私は買い物です」




「買い物?」




「はい。
クリスマスに使う飾りとか、イルミを少し…」




「ふーん。
…彼氏と?」




「え?」




目を合わせると、伊波さんはプイッとそっぽを向いてしまった。




……?




「いえ、私彼氏いないんで家族とです。
といか、彼氏いたら合コンなんて行きませんよ」




まぁ、里津は私のために来てくれたけど…。




笑ながらいう私に、伊波さんも小さく笑って




「そうだよな…」




と呟いた。





…合コンで会った時もだけど、伊波さんって笑うとカッコいいな…。




いや、まぁ笑ってなくてもクールって感じでカッコいいけど。




ジーと伊波さんの顔を見ていると、視線に気づいたのか、伊波さんは苦い顔をして言った。




「……何?」




「あ、いえ、何でも…」




「…ま、別にいいけど」




そう言った伊波さんは、私の足元を見た。




「…それ、重い?」




「え?
あ、荷物ですか?」




何を見てるんだろうと思ったら、さっき買ったばかりの荷物か。




「少し重いですけど、持てない重さじゃないです」




「ふーん」




すると、伊波さんは1個袋を手に取った。




「え、え?」




「重いんだろ?
運んでやるよ」




「で、でも伊波さんどこかに行く予定だったんじゃ…」




「もう済んだ」




そう言って歩きだそうとする。




「あの、どこまで…!?」



「どこって、あんたの家に決まってんだろ」




まさか家まで運んでくれるの?




「でも、迷惑じゃ…」




「俺は別に迷惑じゃない。
あんたにとっては迷惑?」



「いえ、そんな…。
すごく助かります」




「そっ」




私はベンチから立ち上がって、もう1つの袋を持ち上げた。