「馬鹿だね、先輩…」


寝起きのせいか、秋君の声が掠れてる。


「馬鹿…?」

「そう、馬鹿だ…」


馬鹿と言いながらも何故か秋君の声が優しい。


「また強がって、俺が分からないと思った?なら馬鹿だね」



秋君………



「俺、いつも舐めるよーーうに先輩の事見てるから」

「え、変態発言ですか!?」

「男は誰しもいつでも変態という性を持っている」


「か、格好つけて言う事じゃないからね??」



もう……
なんなんだろう秋君って。
本当に不思議。
変態だけど優しくて…


「ふふっ…秋君って面白い」

「………あっそ」


秋君の拗ねたような声が聞こえる。



「秋君、ありがとう」

「…先輩?」


不思議そうな顔をする秋君に私は笑みを向ける。


「久しぶりに笑ったから、秋君のおかげかな」


本当、こんなに温かい気持ちになったのはいつぶりだろう。