ー秋side


「ねぇ、秋君!今日は部活行かないの?」

「うーん、今日は行かない」


放課後、クラスメイトの女共が、俺の回りを囲んでくる。
雛先輩と付き合う前の、慣れた光景だ。


鬱陶しい……
下心が丸見えだっつうの。


「んじゃ、うちらとカラオケ行こーよ!」

「秋君いたら、ちょう嬉しいし!」



毎度毎度、飽きないな…こいつらも。



「俺、バイトなんだよね。だから、他あたって」

「えぇー!!つまんなぁい!」


前は断るにしても、愛想は良かったはずなのに、こんな、どこにでもいる女相手に、良い顔するのもいい加減疲れた。



「いいじゃん、バイトなんてさぁ」

「いこーよー!」


あぁ、面倒くさっ!!
もう、なんなんだよこいつら!!



腕絡ませてくるわ、可愛い子ぶるわ………


「すみません、そちらの王子をお借りします!」


脱力していると、空いている方の腕を誰かに引かれた。
振り向くと、そこには佐藤先輩がいる。


「佐藤先輩?どうしたんてすか?こんな所で」

「うん、君に聞きたい事があってさ」


佐藤先輩は真剣な瞳で俺を見据える。
いつも能天気なこの人が、こんな顔をするときは大抵………



雛先輩の事か………?



また、雛先輩に何かあったのか?
倒れたりしたんじゃないか?


一人で背負い込むから………



忘れようとしても、今もこうやって先輩の事を考えてる。
そんな自分に苦笑いをした。