「先輩?」
突然声をかけられる。
たぶん、この声は……………
「秋君?」
私は青空から目をそらし、声の主に向き直る。
そこにはやっぱり秋君がいた。
「先輩、何ぼーっとしてんの?こんな所で呆けてたら、すぐに拐われちゃうよ?」
「私を?無い無い。大丈夫、きっと眼中にすら入ってないよ」
私よりも上半身裸で体も筋肉がしっかりついてて、イケメンな秋君の方が拐われそうで危険だと思う。
「俺の眼中には入ってるから、あんまし無防備さらさないでね?先輩?」
まるで甘えるような声とは対照的に男らしい手が私の頬を撫でる。
触れられた所が甘く痺れていくようだ。
「無防備じゃないんだけどな」
「俺の前だけなら許すけどね」
秋君は不敵に笑い、私ににじり寄ってくる。
「じゃあ、今はぼーっとしててもいいんだね。秋君が傍にいるから」
秋君がいるなら、無防備でもいいって事だもんね。
気を使っていても疲れるし、なにより秋君の前だと自然に気が抜けちゃうのかも……
「…………………」
すると秋君は何故か口元を片手で多い、俯いてしまった。
気分が悪くなった!?
日差しも強いし、熱射病か何か!?
私は慌てて秋の顔を両手で包み、上げさせる。
「秋君!具合悪い?悪いならすぐ先生にっ……」
「ちょ、やばっ……。先輩近すぎだし、このアングルだと……」
秋君が恥ずかしそうに私を見下ろし、パッと視線を反らした。
アングルって………
すぐに秋君の先程の視線を辿る。すると……
行き着いた先は私の胸の谷間だった。
「あ……わわっ………」
ど、どうすれば!?
は、恥ずかしすぎるよ!!
「あー…もう、お願いだからパーカー羽織ってるだけじゃなくてちゃんと着て!前も閉じて!」
早口で私に注意しながら、パーカーを着せてくれる。
「……あ…」
その途中、秋君は何かに気づいたように手を止めた。


