「あ!!」
それは外に出てすぐの事だった。
「先輩、何ふざけてんの?」
私の手元、裏返った傘を見て秋君は呆れる。
ふざけてるわけじゃないんだけどな…
普通に、ごく普通に傘を開いた。
……はずだった。
「どうしてこんなことに……」
雨という時点で憂鬱なのに、これ以上私を憂鬱にさせてどうしたいのこの雨は。
「はぁ……」
ため息が出る、ため息しか出ない。
仕方ないなぁ……
ブレザーを頭から被って戦闘体制に入る。
「よし!」
と、意気込んだ私の腕を秋君が掴んだ。
「先輩、あんた何してんの?」
「へ?帰ろうと……」
秋君の呆れ顔が私を見下ろす。
あはは……
もう笑うしかないよね。
「この雨の中そんな薄っぺらいブレザーで帰ったら風邪ひくでしょうが。馬鹿なの?先輩。あぁ、馬鹿か……」
き、傷つく!!
そんなあからさまに呆れた顔をしなくても!!
「うぅっ…………」
何も言えません……
どうせ馬鹿ですよ!!
「はぁ、入れば?」
「そんなに呆れなくてもいいのに……」
つい愚痴が出る。
「呆れるに決まってんでしょ。傘壊れたら普通一緒に入れてもらおうとか思わない?」
「あ………」
その手もあったんだ。
今更気づくなんて私、相当の馬鹿だ。
って、やっぱり馬鹿だ私…
再び落ち込む私に秋君はため息をつく。
「頼ったり、甘えたりしてこなかったんだね、先輩」
「え……?」
急に秋君の声が悲しみを帯びた。
秋君………?


