「……先輩?」


名前を呼ばれて顔を上げると、秋君が私の顔をのぞきこんでいる。


「あ…どうしたの?」

「それ、俺のセリフ」


秋君は呆れながら私の隣に腰をおろす。


「部活の時間に絵も描かないでぼーっとしてる先輩なんておかしい」

「そう?私だってぼーっとしたい時もあるよ?」


こんな日は特に………


「今日は特に心ここにあらず、ですよ!」


今度は菜緒ちゃんが私の隣に腰をおろした。


「うーん…そうかな?」


曖昧に濁して空を見上げる。


蛍ちゃん……
また雨だよ……


いつか、いつかまた蛍ちゃんに会えるなら…
蛍ちゃんがくれたあの絵のように澄み渡る青空がいいな……




そして今度はちゃんと約束を果たしたい。海にあなたと行く夢のような約束を…



ずっと果たせずにいる約束を…