「なんだよ急に」
この流れはなんか嫌な流れだ
俺、もしかして振られるのかな…
そんな事も頭をよぎる
「私、実は借金があるの」
「えっ!」
一瞬何をいっているのか分からなかった。
彼女の話は続いた
「こんな事言って嫌われるのは分かってるの?」
「けど、ちゃんと自分の口から伝えなきゃって思って」
彼女の苦しそうな顔を見るのは辛かったが最後まで話を聞かなくてはいけないと思った
「なんで借金なんかしたの」
「お父さんが昔騙されてすごい借金しちゃったの」
「…そう」
「でもね、後10年で完済できそうなの?」
「10年…27歳になってるよ」
俺はすごく冷静になっていた
「お父さんも今すごい頑張って返してるし私も一緒に返してるから」
「俺も手伝うよ、エリの為に働くよ」
「ありがとう…ハル、でも違うの!そういう事じゃないの」
「じゃあ、どうすれば」
エリが激しく俺に抱きついた

「…お願い、もう少しだけ、一日だけでもいいから…嫌いにならないで!」

「自分がすごく矛盾してるのは分かってるの!間違ってるとも分かってるの!でも…でも……」

ぐしゃぐしゃの顔のエリは俺にはとても想像できない苦労があったに違いないのだと感じた
本当に俺は無力だな
「嫌いになんかならないよ。ずっとエリのそばにいるから安心しろよ」

「…ごめんなさい。ありがとう」
エリは何度も同じ事を言った。
そして俺も…