「ボジョレー・ヌーボー」
「特に強いお酒じゃないのに……」
気分の問題なのか、彼の胸板に頬擦りをしてみる。
寒い、からこそ、触れてほしい。
――プライドが……。
あるからこそ口には出さないが、ここまですればもう、言ったと同じだろうに。
「寒い時は裸で抱き合うんだって」
「目をランランと輝かせて言うなら、まだ大丈夫な証ですね」
暖めずとも死にやしない。けれども、彼はミナナなくしては生きられないだろう。
強く抱きしめ始めた腕は、愛情の形。笑顔でミナナ以外の人を殺せる手のくせして、どうしてこんなにも優しいと思えるのだか。


