「可愛く酔っている姿が見たくてね」


渡されたグラスは下心満載だが、律儀にも受け取るミナナは、自身が酔わないと知ってしまっている。


もともとお酒など飲まないが、彼に初めて飲まされ、自身の酒豪ぶりに気付いたほどであり。


「お酒飲む前から酔ってんですか、あなたは」


彼は案外、お酒に弱いとも知ってしまった。


素面だか酔っているかの境界線が曖昧な彼は、ミナナの前でずっと笑っているが、もしや匂いだけでクラクラしているのではないかと疑う。


軟体生物のように、もしくは溶けた飴らしくミナナに垂れかかる体を押し返す。