「ほら、消したぜー。わたるわたるわたるって、いねえガキ気にするショタ好きの言う通りに消してやったー」


安全装置が作動したヒーターは、確かに振動一つで消えてみせたが、このやり方で更に五十鈴の怒りマークが増えたのは誰もが予測できよう。


「お前は……!壊れたらどうするっ」


「壊れねえよ、んなぐらいで」


怒鳴り声がうるさいと耳をほじる小悪党。冬でも袴に羽織りとした格好で、他人の家で寛ぐこのシーンはもはや馴染みあるものでもあった。


何年も前から、こうだった。


その度に怒られる小悪党――藤馬(とうま)は学習しないどころか懲りない。この場合、怒り続ける五十鈴が馬鹿の一つ覚えと言えよう。