「ホームルームを始めます。」


「きゃーっ、藤堂先生♪」
「カッコいい~!」
「キャーッ!!」


先生が一言話すだけでクラスには女子生徒の黄色い声が広がる。毎日毎日よく飽きないなぁ...。

(キャー、先生、今日もカッコいいー!)
...まぁ、私ももちろん、毎朝心のなかで叫んでるんだけど。
さすがに声には出せないし。

...やっぱりいつ見てもカッコいい。
毎日見てるのにまったく飽きない。むしろずっと見ていたい。

まだ、恋をしたことがない私には分からないけれど...まぁ、きっとこれは恋愛感情というより憧れに近いと思うけど。


だって、藤堂先生が私と恋人?
いやいやいや、…あり得ないでしょ。

だって、仮にも教師と生徒。
相手にだってされないよー…。
それに、あんなカッコいいんだもん、先生くらいイケメンが私を選ぶはずがないよ。



「……以上です。」


ヤバい、先生の話はいつの間にか終わっていたみたい。
私、聞いてなかったよ…なんの話をしてたのかな。後でるいちゃんに聞けばまぁ、いいか。



「…僕の話は以上ですが、松下さん。あなたはこのあと僕のところへ来てください。」


先生がそう言ったとたんクラスの女子はこちらを振り向いてきた。その瞳には色々な色が見える。

羨ましい、驚き、あとは...みんなが見たからつられて...って感じかな。

るいちゃんも勿論その一人。
…なんなんだ、この子。めっちゃニヤニヤしてこっち見てるよ。大丈夫かな?どっかで頭でもぶったのかな?


てゆーか、

はい…?

今、何て言った…?

もしかして…私が話聞いてなかったの、バレてたのかな!?


先生は、とりあえずそう言うと教室から出ていった。

急いで追いかけなきゃ。
多分、先生は英語準備室に向かっているだろうから私もそこへ急ぐ。

なんだろう、話って。
...本当にバレたのかな?話聞いてなかったこと。それともバイトをこっそりしてること?それとも...テストの結果が悪かったとか...?

そんな事を考えているうちにあっという間に準備室の前に着いた。

とりあえず…準備室の前まで来たけど。
どうしよう。とにかく、話を聞いてなかった事を謝るのが先かな。それとも用件を聞くのが先かな…。


やッぱり先に謝らなきゃ。
でも、もし本当に私が話聞いてなかったのに気付いたなら先生凄いな。