そう言ってしょんぼりしている彼に、私は笑顔で言った。
「ううん、あの黒崎さんにあそこまで言えるなんてすごいよ!さ、気を取り直して飲もう!?」
三条君を連れて席に戻ると、黒崎さんがこちらを見ていた。
何やら三条君と火花を散らしてるっぽい・・・
それに気付いた周りの皆が、気を使って違う話で盛り上げているのが痛いくらいわかる。
その後三条君と黒崎さんは一度も会話をしなかったし、一度も目を合わせていない・・・と思う。
数十分後。
私は酔いが回って楽しくなっていた。
伊藤さんと好きな歌手の話で盛り上がったり、三条君がそのモノマネしたり。
いつの間にか目の前に座っていた新人の子達にも絡んでいた。
「えーーー!!理沙ちゃんってまだ18なんだぁ!?」
「はいっ高校卒業してすぐ就職したんですけど合わなくてやめちゃって・・・」
理沙ちゃんは先月派遣社員として入ったばかりの女の子だ。まだ高校生っぽさが残る彼女は、どこか妹の綾に似ている。



