今夜 君をさらいにいく【完】


それを見ていた藤本さんが、笑って言った。




「玲人にそういう口聞けるなんて大した子ー!そういう子嫌いじゃないわ」


「俺は嫌いですけどね、あなた達みたいに人を見下げたような考え方をするひと達は!」




そう言い、憤りを隠せない様子でトイレに行ってしまった三条君。


藤本さんはそれでも笑っていた。



正直三条君があそこまでハッキリ言える子だとは思わなかった。


そして黒崎さんもあんなにムキになるなんて珍しい。





三条君の後を追ってトイレに行こうと立ちあがると、酔いが回ってくら~っとなった。


お手洗いの前で待っていた私に、「わっどうしたんですか!?」と言って、驚いている三条君。




「いや、ちょっと気になって。大丈夫?あんなに怒るの珍しいね」



「・・・ちょっと言いすぎたかなって思いましたが我慢できませんでした・・・なんか場の空気悪くしちゃってすみません」