今夜 君をさらいにいく【完】



なんで藤本さんが!?


すると普段の鬼の形相から一転、にこやかな笑顔で私に言った。


「桜井さん達も楽しんでる~?」


「え、ええまぁ・・・」



隣にいた三条君はむすっとした表情で頷いている。藤本さんが苦手なのは知っていたが、そうあからさまに態度に出さなくても・・・と思った。



「2人ってお似合いよねー」



突然何を言い出すのかと思えば・・・私達の事!?



「だっていつも一緒にいるじゃない?お昼とかも。付き合ってるんでしょ?」



黒崎さんの目の前で何を言い出すんだこのアマ・・・



「いえ!仲はいいけど付き合ってないです!」



私がハッキリとした口調で言うと、三条君が「うわーハッキリ言うね!」と、苦笑いした。



「そうなのー?傍から見たら付き合ってるように見えるわよあなた達。付き合っちゃえばいいのに。ねぇ?黒崎さん」



黒崎さんが私達の方に目を向けた。

悲しい事に、ここに座ってから黒崎さんと目が合ったのはこれが初めてだ。