お通しにサラダ、焼き鳥などが運ばれてきた頃に三条君が到着した。

三条君は秋らしくチェックのシャツに、下はカーキのカーゴパンツを履いていた。彼もオシャレが好きなのか、毎回会うたびに違う服を着ている。


宴会場の入口で突っ立っている彼に手を振ると、こちらに気づき、にこやかに笑いながら歩いてきた。


ちょうど隣に座ってた人が席を移動していたので、三条君がそこに座った。



「お疲れ様~三条君っ」



ほろ酔い加減の伊藤さんが声を掛けた。



「お疲れ様です、伊藤さんもう出来上がってんですか!?」


「なーに!これからよ~ほら三条君も頼みなさいっ」



伊藤さんに飲み放題メニューを渡され、真剣に悩みだす三条君。



「どれにしよっかねぇ、やっぱ生かな」


「お酒強いの?」



私の問いかけに、メニューから一旦私に視線を移した。



「そうですねー結構飲めますよ、桜井さんは弱そうですよねっこの前ぶっ倒れましたし」


アハハと笑う彼に私は肘で小突いた。


「あれは焼酎ロックだったから!普段はもっと強いんだから」


「そうなんですかぁ?・・・あ、すいません生一つ!」



注文を聞きに来ていた店員に、三条君はすかさず大きな声で頼んでいた。