「ああ、もう着いてたのか」
上着は腕に掛けられていて、長袖のYシャツを肘まで腕まくりしている。
意外と筋肉質な腕に、私は見入ってしまった。
宴会場に戻ると、黒崎さんが斜め前に座った。
確かに来た順に詰めて座るのが普通だと思うが、こんなに近くに座れるとは思ってなかったので、急に緊張感が高まってきた。
伊藤さんも同じ事思っていたのか、「近くにいると思うと緊張するわね!でもラッキーっ」と耳打ちしてきた。
黒崎さんは隣に座っているオペレーターの男の子と話しながら、カバンから煙草を一本取り出し、口にくわえた。
そのスマートさが格好良かった。煙草を持つ長い指も綺麗だったので惚れ惚れしてしまう。
しばらくして全員が集まり、宴会がスタートとなった。
幸運な事に、部長ははるか遠くに座ってくれた。
私はビールを半分くらいまで一気に飲み干し、伊藤さんと談笑していた。
黒崎さんはというと、飲むペースが早く、すでに二杯目に突入しているようだった。
あんな飲み方で酔わないってどれだけ強いのだろう。



