「それにしても桜井さん、化粧するとだいぶ感じ変わりますネ!?髪は昨日寝づらそうだったんでとっちゃいましたけど・・・」
「そうだ!昨日私三条君に随分迷惑かけちゃったんじゃない!?」
三条君と会ってからの記憶が全くない。
年下の子に、しかも男の子に面倒をかけるなんて本当に情けないと思った。
「いえいえ!倒れたのはびっくりしましたけど、そのあと俺がかついで近くのこのラブホに入ったんです、なんか勝手にすみません・・・」
少し恥ずかしそうにしている彼も、一応男だ。よく何もせずに我慢できたなと思う。
感謝しなきゃ。
「ううん、本当に助かった!三条君で良かったよ。なんか私最近しょっちゅう助けられてない!?」
「もっと頼ってください」
一緒に笑ってくれるのかと思ったが、意外にも真剣な表情で私を見つめてきた。
「俺まだ学生で頼りなく思われてんのかもしれないですけど。もっと俺の事頼ってほしいんです」
「・・・うん」
微笑むと、三条君も照れくさそうに笑った。
人に頼るって事を忘れていた。
ずっと一人で突っ走ってきたから。だからそういう優しい事を言われると、涙が出そうになってしまう。



