今夜 君をさらいにいく【完】


そこには本当に“シュン”とローマ字で表記されている。



「・・・なんでホストを?」


「いやー、正直手っとり早く稼げるからってのはありますね」



あまり暇のない大学生の彼からしたら、ホストは短時間で効率よく働ける仕事の一つなのだろう。



「じゃあコールセンターなんてやらなくても・・・」


「いんや!あれは別なんです!桜井さんに会えるし?」



悪戯っぽい笑みをこぼし、私を見つめてくるのでドキドキしてしまう。



「とにかく!あのお店で働いてる事は周りに内緒でお願いします!」



ベッドの上で土下座している姿がおかしくなった。



「大丈夫大丈夫!誰にも言わないよ!・・・それにあたしも同じだもの」



誰にも言わないつもりだったけど、会ってしまったなら仕方がない。
でも、セクキャバとは言えなかった。


キャバクラ・・・せめてキャバクラなら。



「あたしも。手っとり早く稼げるからキャバクラで働いてる!まぁマリナとはそういう夜の世界で知り合ったんだよね」



あとでマリナに口裏合わせてもらわないと大変だ。


三条君はなんの疑いもせずに信用してくれた。


「なんか2人のヒミツって感じでいーっすね」


にこにこ顔で笑っている。