「お前の家の事、わかっているつもりでいた。俺にも色々考えはあったし、ゆっくり考えていこうと思ってたんだ。でも、そんなにお前んちが切羽詰まるほど大変だったとは俺も気づかなかった・・・」
「・・・」
「この前、飯田先輩に会ったんだ」
「え?」
唐突に言われ、私は動揺した。
もう二度と私とは会わないと言った飯田さん。
どうして黒崎さんと・・・
「・・・飯田先輩の方が良かったんじゃないのか?俺に遠慮してるんじゃないだろうな」
「え・・・どうしてそんな」
「あの人は本当にできてる人間だよ、今まで出会ってきた中で、一番尊敬できる人かもしれない。だけど桜井はあの人を振ったんだろう?それって俺がいたからじゃないのか?」
黒崎さんらしくない、少し自信なさげにそう言った。
「それは違います!私は・・・黒崎さんがいいんです」
「・・・俺のどこがいいんだよ?こんな・・・大人げない奴の・・・」
「好きになるのに理由なんてありませんっ・・・いつの間にか好きになってて・・・どんどんそれが大きくなってって。もう黒崎さん以外見えないんですっ・・・」
だから本当は別れるなんて辛すぎる。



