「あの・・・私、ここも辞めて・・・静岡で住み込みの仕事する予定なんですっ結構お金も良いみたいで・・・夜働かなくてもすみそうだから・・・」
目に涙が溜まって瞬きしたら今にもこぼれてしまいそうになる。
「黒崎さん・・・今までありがとうございました・・・そしてご迷惑おかけしました」
次の瞬間、黒崎さんが深いため息をついた。
「お前、何一人で勝手に決めてんだよ」
私は俯いたままでいた。
黒崎さんは呆れてるような・・・そんな言い方だった。
自分勝手だよね。
さんざん人を振り回して迷惑をかけたあげく、会社辞めて逃げ出すようなやり方。
「俺も・・・大人げない態度とってしまって悪かったと思ってる」
意外な言葉に私は顔を上げた。
そこには少しはにかんだ顔の黒崎さんがいて。
「イライラしてたんだよ、俺より飯田先輩の方が桜井の事をよく知っていたから」
なんて言って、片手で額を押さえつけ、俯いた。



