「この俺がクビになるわけないだろう。上もわかってるよ、部長は前から色んな噂があったからな、あの人は仕事もろくにできないし会社からしたら厄介な人物だったんだよ」
「そうなんですか・・・」
やっぱり黒崎さんの耳にも部長の噂は届いていたんだ。
「それより・・・」
と言って、再び私の顔を覗き込んでくる。
「なんでもっと早く言わなかったんだ、部長の事」
眉間にしわを寄せ、少し怒った口調で言う。
「すみません・・・迷惑かけてしまうし・・・それに・・・」
「それに?」
“黒崎さんにバレてしまうから”なんて言えない。
でも黒崎さんは私の言葉の続きを待っている。
そしてきっとその言葉の続きを知ってるのだろう。
「黒崎さん・・・」
私は黒崎さんを見つめた。
もうここで私たちの関係が終わってしまうかもしれない。
それでも、本当の気持ちを伝えよう。
彼だからこそ、最後にちゃんと真実を告げよう。
「私、風俗で働いてました・・・」



