「ごめんマリナ・・・電話でも言った通り、好きな人ができた。だからマリナが悪いんじゃない、俺が全部悪いんだよ」
「・・・その人と付き合うの・・・?」
「いや、まだそういうんじゃないけど」
「そう・・・うん、わかった」
マリナは物分かりの良い子供のように、泣きもせずそう言った。だから私はマリナの分までアユムに強く言ってしまったのかもしれない。
「アユム君!マリナは今までアユム君の事だけを一途に思ってきたんだよ!?店で働いたお金はほとんどここに使ってた!なのにそれでアッサリ終わりだなんて・・・」
「・・・ごめん!本当にごめん!!」
突然、アユムがその場で土下座した。
道行く人々が皆こちらを見ている。
「マリナの事、大事にしてやれなくて・・・本当にごめん。今まで使ってきた金はちゃんと返すつもりでいる」
「え、返すって・・・すごい金額だよ!?」
私は驚いて、少し大きな声を出してしまった。
「わかってる。でもいいんだ、そうさせてほしい」
マリナがアユムの前にしゃがみこむ。
「顔上げてよ」
アユムが顔をあげると、
バシィッ!!
と、思い切りアユムの頬を引っ叩いたマリナ。



