ジュリアの店内に入り、受付でアユムを呼び出すと接客中のため30分は抜け出せないと言われた。

今日は客として来てるわけではない。


あんな奴のためにもう一銭も出したくなんかない。


私たちは外で待つことにした。


明け方でも歌舞伎町はまだ人通りが多い。そして白い息も凍ってしまうほど外は寒かった。


マリナが体を丸くしてしゃがみこむ。



「・・・アユム来てくれますかね」


「来なかったらこっちから行くし!」



私は寒さも吹っ飛んでしまいそうなくらいイライラしていた。



数分後、誰かが階段を急いで上がってくる音がしたので、私たちは顏を見合わせた。




「マリナ・・・!」




アユムが息を切らしてやってきた。


顔を見ると、更に怒りがフツフツと湧き上がってくる。



「ちょっと!アユム君どういうことなの突然!」



「サナちゃん・・・ごめん・・・」



その場にうなだれるアユム君。



「私じゃなくて、マリナにちゃんと説明してよ!」



するとマリナがゆっくり立ち上がった。



「アユムー・・・なんでなの?私何かした・・・!?」



マリナがアユムに詰め寄るが、一向に顔を上にあげない。