「冷たい。」 冷えた私の体を抱きとめた雄志は不機嫌そうな声を上げる。 「そりゃあ雨の中三十分歩いてきたんだから。」 言葉も態度も冷たかったけど、私の手を優しく何往復も撫でる彼の手はちゃんと温かかった。 こんな非常識で無責任な彼でもちゃんと血が通っているんだと思った。