2つ分の飲み物を自販機で買い終えた時、菅野先生の財布からピラッと何か紙切れが落ちたのが見えた。



「お…っと」



落とした紙切れを拾った菅野先生は、すぐにまた大事そうに財布にしまった。


何だろう。
今の、まるで映画の半券のようだったけど…?



「菅野先生、そんなのずっとお財布に入れてるんですか?」



「ん…、ちょっと大事なものなんだ」



「………?」



フッと寂しげな目で笑った菅野先生に、私は不思議な気持ちになった。


どうしたんだろう。

私の知らない菅野先生を、初めて見てしまった気がする。




「…あ、早く帰らなきゃ家の人が心配してしまうね。
ごめん、行こうか」



「あ、はいっ
そうだ、今日は久しぶりにお姉ちゃんが帰ってるんだった!」



近くではあるんだけど、1人暮らしをしているお姉ちゃん。

明日がお仕事お休みだからって、帰って来てくれる話だったんだ。



「梅津さんの、お姉さん…?」



「はいっ
ちょっと年が離れてるんだけど、姉がいるんです」



「………そう…」



一緒に暮らしていた時は、何でも話していたお姉ちゃん。

今の私のこの複雑な気持ち、相談してみようかなぁ…。












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