新撰組は恋の香り―後編―


個室みたいなとこで土方さんとお菊さんが話してる間、私は違う部屋でお鈴ちゃんという同い年くらいの子に気付けをしてもらっていた。

「郭言葉使わんといかへんよなぁ?あちきが教えてあげませうな。」

、、、やばい。私、古語苦手ーー!
お鈴ちゃんの言葉は半分以上わからなくて
対応に困った。

「あの、、、あちきって誰?」

目をパチクリさせお鈴ちゃんはぷっと笑吹き出した。

「やだわぁ。あちきって言うのは私っていう事ざんすよー。他にも“わっち”“わちき”とかって言いますなぁ。」

「ヘェー。じゃあ!わっちの名前は葵羽ですぅ。」

語尾を丸くしてみたらお鈴ちゃんはすかざず

「そこは、“わっちは葵羽でありんす。”の方がええと思いますわなぁ。」

と、アドバイスをくれた。

「えっと、、、わっちは葵羽でありんす。よろしゅうおねがいいたしやすぅ。」

「うまいどす!これで立派な芸子でありんす。」

ぽんと、背中を叩かれ鏡の前に立たされる。

そこに写ったのは紛れもなく私だけど
私とはかけ離れた芸子さんだった。


「すごい。」

「郭言葉忘れてまへんか?」

クスッと笑うお鈴ちゃんはとってもかわいかった。