新撰組は恋の香り―後編―


それから数日後、山南さんは脱走をした。
脱藩っていうのかな?たぶんだけど。

新選組ではこれはいけないことらしく
さすがの土方さんも焦り顔だ。

「どーするんですか?」

「どうするもなにもこんな事許される訳ねぇだろ。」

「じゃあ、斬っちゃいますか?」

「総司、お前なぁ。」

土方さんにお茶くみを頼まれていたので
お茶を持って土方さんの部屋へ行くと
そんな話で沖田さんと土方さんがワーワー言っていたから襖を開けられずにいた。

「...はぁ、葵羽。入ってきてもいいぞ。」

「え?あ、はい。失礼します。」

お茶です、と持ってきたお茶を差しだし
自分用として持ってきたお茶を沖田さんの前へ置いた。

「ありがと、葵羽さん。」

「いえ。えっとー」

居ていいのか分からなくて悩んでいると

「ここに居ろ。お前に頼みたいことがある。」

「わかりました。」

「総司は寝てろ。お前まだ調子悪いだろうか。山南さんは俺が何とかする。」

「ちぇっ、過保護の土方さん登場ですか。」

「早くしろ。」

しっしっ、と手で沖田さんのことを追い出した。