新撰組は恋の香り―後編―



「うん。」

小さく相づちをうつ。
だって、今の平助くんの言葉は私が新選組に対して思っていることとおなじだったから。
嫌いな訳ではない。でも、怖い。でも、信頼している。矛盾ばかりで分からない。だけどきっと、平助くんも同じ気持ちなんだと思ったから。

「尊攘とか佐幕とか何が正しいかとか正しくないとかやってみなくちゃわかんねーだろ?」

「…うん」

「それとさ、この国のために必要な物を見てきたい。」

「そっか。平助くんが決めたなら私止めない」

今にも零れそうな涙を必死に抑えて笑う。
「ありがとう」と、言いながらポンポンと頭をなでてくれた。
そして、おでこに優しくキスを落とされた。


平助くんが部屋をでてから数秒もたたない内に静かにでも確かに涙が溢れ出してきた。